【赤の広場で】「赤い労働者」の顛末 – 産経ニュース – 産経ニュース



 モスクワ支局の窓から、実に奇怪な、建設途中の高層アパート3棟が見える。全体が青や赤、黄色のパネルのような建材で覆われ、どこに窓があるのか分からない二十数階建てである。

 建築が始まったのは2008年。私自身、毎日のようにこのビルを目にしてきたのだが、とにかく進捗が遅く、いっこうに完成しない。この1~2年は外観こそ形になったが、内部の部屋割りなどは手つかずだ。

 ロシアでのデザイナーズマンションの先駆けとして売り出され、注目された「億ション」だった。新築物件として買い手を募りながら、10年近くも建っていないのである。

 ロシアでは、新築住宅の購入者をまず募り、集めた金を建設費用に充てることが多い。計画が甘かったり、詐欺まがいだったりすると購入者は泣きを見る。銀行が未発達だった2000年代初頭までは特に、この「だまされた出資者」が社会問題化した。今も、同様の被害は後を絶たない。

 くだんのデザイナーズ億ションがあまり問題化していないのは、購入したのが大金持ちのため、事を荒立てて、金の出所などを探られたくないからだとみられている。ちなみに、この建物はソ連時代の機械工場「赤いプロレタリアート」の跡地に計画された。何ともロシアらしい顛末である。(遠藤良介)



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